2018年度短期派遣奨学生〜大人 倫菜

研究タイトル:
「サンポを追って」

氏名:大人 倫菜
奨学年度:2018年度奨学生
奨学区分:短期派遣枠
滞在期間:2018.7.22 – 9.18
滞在先:フィンランド、ロシア

活動内容:

フィンランドと東ロシアを周り、フィンランドの代表的叙事詩である” カレワラ”という物語の風景を体験しにいった。後半ではフィンランド中部にあるレジデンスに滞在し、作品の制作と展示、地元の小学校でカレワラにまつわるワークショップを実施した。
今回調査の中心となったカレワラは第二次世界大戦中にロシアからの独立をする為にフィンランド人としてのアイデンティティを確立為の大きな力となったと言われているフィンランド独自の叙事詩である。カレワラはいくつかのパートに分かれている為、各ストーリーの主軸になる人物が複数いるが、カレワラのメインストーリーである幸福を作り出す魔法の道具、「サンポ」を巡る物語の主人公はワイナミョイネンという魔法使いのおじいちゃんだ。
子供達と共同で制作した映像作品では、それぞれ主要の物語の中から自分達のお気に入りのシーンを選んでもらい、人形劇でそのシーンを再現してもらった。

気付いたこと、見つかった課題:

地方の行くほど人々は無邪気で、特にロシアでは日本人の女性が1人で旅をしているのは珍しいようで、言語が通じなくても、話しかけてくれたり、困った時に手をさしのべてくれました。又、歴史的背景として、フィンランドは長い間隣国のスウェーデン、ロシアに支配されていた時代があり、街のいたる所で隣国からの文化面での影響を垣間見ることが出来ました。旅全般に関しては、日本の観光ガイドなどにあまり載っていない場所に行こうとすると情報がないので交通手段にとても苦労し、想像よりもかなり移動の費用が割高になってしまいました。車が運転できるとだいぶ違ったかもしれません(免許があっても車両のタイプや交通ルールが違うので大変かもしれませんが…)。

渡航を経ての今後の制作活動:

レジデンスの滞在前にとにかく様々な土地に出向きました。どの景色も忘れられないとても印象的なものばかりでした。特にフィンランドに到着した時期は白夜が続き、人は太陽と月の動きに沿って生活しているのだと実感しました。その土地の景色や人々の生活の記録が、それぞれの国の国民性を表しているように感じました。豊かさということについてさらに考えるようになりました。
豊かさにも様々な形があり、皆それぞれ、その土地に住む人が持つ、風景の美しさに誇りを持っている様に私には見えました。私たちの日常の風景も他の誰かにとってはファンタジーの世界の風景であり、そして私たちにとっての非現実的風景は、誰かにとっては取るに足らない日常の風景なのかもしれません。

本奨学プログラムを利用してみて:

一番不安だったのは旅での安全面です。学生の貧乏旅になると安い宿に泊まらざる得なくなると思いますが、安い宿は治安の悪いエリアにあったりするので特に女性の一人旅では怖い場面が何度かありました。

 

渡航スケジュール:
7/22–23 フィンランド ヘルシンキ着、滞在。夜行でロヴァニエミへ。
7/24–26 ロヴァニエミ滞在。
7/27–28 オウル滞在。
7/29–30 テゥルク滞在。
7/31 ヨエンスー滞在。
8/1–2 北カレリアの中心、コリ滞在。コリ国立公園へ。
8/3–4 ヘルシンキに再び滞在。美術館などを回る。
8/5–9 ロシア、サンクトペテルブルグへ列車で移動。サンクトペテルブルグ滞在。寝台列車でモスクワへ。
8/10–14 モスクワ滞在。
8/15–16 早朝ペトロザボーツク着。ボートにてキジ島へ行き、キジ島観光。寝台列車でムルマンスクへ。
8/17–18 ムルマンスク滞在、寝台列車にてケミへ出発。
8/19 早朝ケミ着。ボートでソロヴェツキー諸島へ。ソルヴェツツキー諸島に滞在。
8/20 ケミに戻り夜行でサントペテルブルグへ。
8/21 サンクトペテルブルグからヘルシンキへ移動。
8/22 ヘルシンキ到着、ラウッカへ移動。
8/23–9/16 ラウッカにあるResidencies of Art Center Järvilinnaへ滞在。
前半の各地への滞在を元に作品を制作。
滞在中に現地の小学校でワークショップを行う。
9/17 ヘルシンキへ移動、ヴァンター空港から日本成田へ出発。
9/18 日本 成田空港着。
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