研究タイトル:
「大陸の中の中国、民族、ジオグラフィックなルーツ:地質、土地、環境から人間へ」
活動内容:
上海から始まり、ほぼ中国内部に限定して(ビザの関係で一度ラオスに入国する)各地方を周り、地理的な推移、変化、差異を体験し、採取加工、撮影などをした。また、現地の人々とのコミュニケーションを通じて一国内のさまざまな文化を見た。
都市部の超近代的な建物と、農村部の昔ながらの生活スタイルなども実際に現地行くことでリアルな現在を知った。また、広大な土地であるために、都市と都市、村や村の間には人が住まない大きな空白地帯があり、ほとんど手付かずの自然環境が残されていた。その網の目の隙間のような地点にも度々訪れて、採取などをした。
徒歩での活動が多かったが、大きな大地と繋がっているという感覚を初めから常に持って、歩くこと、移動することを考えた。移動範囲の簡易な小さな地図を描いたり、日本ではすることのできないスケールでの身体体験も研究した。
気付いたこと、見つかった課題:
中国という国に対して漠然と抱いていたイメージが覆されました。心配していたほど危険でもないし、日本を嫌う人もほとんどいませんでした。どこかで作られたイメージ、噂、印象が全くあてにならないということに気づきました。
合理的に作られた都市部は、東京並みの大都市もいくつもあったし、農村部はかなり日本の風景とも似通っています。そのように環境として気づいたところもたくさんありますが、言語の共通性なども驚きました。中国、韓国、日本の互いに輸入しながら複雑に作られてきた言語関係は、共通点も多く、興味深い経験でした。しかし、移動を続ける中で、一つの土地に根を張るということの重要さを強く実感しました。アイデアをその場で形にする瞬発力の有無が、リサーチ活動をより有意義なものにできるかどうかの分水領だと思いました。
渡航を経ての今後の制作活動:
中国のさまざまな地域を巡る中で、物質や場所にとらわれない制作活動は何か、と考えていました。しっかりと自らの場所に根を張って作って行くこととは別に、現実的な制約になににも縛られないものが必要なのではないかと感じました。現実世界の物理的な条件にほとんど左右されないそのような形態を模索することで、ポータブルかつイメージの広がりをもつ制作活動ができるのではないかと気づきました。それとは別に、岩、石、砂、草などの自然の諸条件でこそ生まれる物質をより利用して行く方向性も検討していこうと思っています。
本奨学プログラムを利用してみて:
とても良い制度だったと思います。いままでしようと思っていてもなかなかできなかった活動をサポートしていただいて、とても感謝しております。特に新たな要望などはありませんが、これからも面白いアイデアを持つ学生のサポートしていって頂けるのはとても頼もしいことだと思いました。
10月17日 東京から上海へ
10月18日〜11月8日 上海〜蘇州〜杭州〜武漢市〜宜昌
11月9日〜11月30日 張家界滞在のち〜四川省周域(成都)
12月1日〜12月20日 成都〜カンゼ・チべット族自治州方面へ
12月21日〜1月8日 雲南省に入り、滞在
1月9日〜1月11日 一度出国し、ラオスに。そののち再入国
1月12日〜1月25日 昆明、成都を経由し、西安、張掖に滞在
1月26日〜2月4日 敦煌を経由し、新疆ウイグル自治区方面へ
2月5日〜2月19日 カシュガル、コルラなどに滞在
2月20日〜3月1日 ウルムチを出発し、北京到着、滞在
3月2日〜3月10日 北京を出発し、内モンゴル自治区へ向かい滞在
3月11日〜3月18日 呼和浩特市から北京へ。滞在
3月18日 北京出発、東京着、帰国