2017年度AIR派遣奨学生〜岡本 羽衣

研究タイトル: 「男性像を考える-ドイツの男性性に出会う」

氏名:岡本 羽衣
奨学年度:2017年度奨学生
奨学区分:AIR派遣枠
滞在期間:2017.5.1 – 8.31
滞在先:ドイツ

活動内容:

この劣等感はなんだろう。ドイツ・ミュンスター美術大学に留学している間、僕はずっと自分が周りの人に比べて身体的に劣っているような気がしてならなかった。
小柄な僕には、地元の大柄な男性たちからいつも見下ろされているように感じた。公衆トイレの男性便器ですら、背伸びしなければいけない僕にとっては嫌味にさえ思えた。 どこから来たのかと聞かれるので日本からだと答えると「日本人の女性は綺麗だ」とドイツの男性たちに笑顔で言われることがよくあった。その時、僕は彼らの笑顔を見ながら確かに彼らは「男性的」だなと感心した。僕には小さい頃から父親がいなかったのでいつも自分で勝手な「男性性」のイメージをつくっていた。いま目の前で大きな白い歯を見せ、黄金色の毛を腕に生やし、低い声で笑う彼らは僕にとっての男性のイメージをもっていた。 この活動はベルリンに滞在しながら、歴史を通してこのドイツを中心としたヨーロッパの広義的な意味での「男性性」のイメージを蒐集し、制作や「男性」というイメージについて考察しようという試みだ。

気付いたこと、見つかった課題:

[1]移民が増え、土地の値段は徐々に値上がり、大きなビルがあちこちで建設していく都市の変動が激しく行われていました。同時に、ベルリンという第二次大戦時、戦後の冷戦時代などの傷跡を残す歴史に対する意識の強さを感じました。
[2]ミュンスターは自然と暮らしの景観を大事にした田舎町でしたが、ベルリンは都市である分、様々な人種が混ざった空間だったので、新しい出会いが多くありました。そうやって否応無しに周りと関わっていると徐々に下手でも英語を話すことに抵抗がなくなってきました。
[3]ギャラリーは東京と同じように多くありましたが、日本のギャラリーに比べると作品の自由度が高かった印象があります。技術みたいなテクニックよりもまず実践してみること、ヘタでもぶつかって一度自分の培ってきたものを壊すぐらいの気持ちでやるべきだと思いました。

渡航を経ての今後の制作活動:

毎週末、僕はベルリン内の骨董市を周ったり、街中に落ちているものを拾ったりして制作に扱うガラクタや食器を蒐集していました。僕にとってベルリンでの生活の中で習慣としてリサーチができた一つの例です。
その場所で暮らしながら、何かに反応して日常生活の延長線上で制作が進められていることがとても充実した経験でした。また、レジデンスでは一人のアーティストとして参加できたことが嬉しかったです。
どこの教育機関にいるか、どういうキャリアかというより、自分はいま何しているのか、「私」であることを証明することが大事だということを身にしみて感じました。この経験が、作品や考え方の幅を広げ、今後ももっと海外で制作・発表をしていきたいと強く思えるようになりました。そのためにも国内にいるときは、国内でしか得られないリサーチや経験をもっとするべきなんだと思います。

 

渡航スケジュール:
5月1日 ミュンスターより夜行バスでベルリンへ。ベルリン着
〜7月31日 レジデンススペース滞在、リサーチ
7月29日〜30日 個展発表
7月31日 一度ミュンスターへ帰る
8月31日 帰国
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