研究タイトル:
「日常で起こるネガティヴな未来をヴィジュアルアートでどうポジティブに魅せていくか」
活動内容:
「ウィーンを拠点にヨーロッパーの文化を学び、自身の作品の視覚的な部分の強化と素材について研究した。ウィーンではウィーン美術アカデミーのtextual scalptureのクラスに修学し、森のリサーチの課題に取り組んだ。ウィーンの森を散策し、周りの文化や環境保護、オーストリアの絶滅危惧種の動物や、植物について学ぶことができた。また授業とは別にドナウ川の清掃プロジェクトに参加したことでテクノロジーと全く反対側にある大自然を体験することができた。人間が捨てたゴミを回収していく中で自然を守る大切さや、人間の小さな行為の積み重ねによって自然が壊れていく姿を目の当たりにし、人間のあり方について深く考えるきっかけとなった。
気付いたこと、見つかった課題:
「ヨーロッパへはこの留学をするまで一度も行ったことがなかったがヨーロッパのイメージは観光雑誌やテレビ番組などの影響で強く定着していたため、自分自身のヨーロッパ像が出来上がっていた。例えばウィーンのイメージはきれいな街並みが広がっており、観光客が多く訪れる賑やかな街だと想像していた。しかし実際に住んでみると修理のために補修されていた歴史的な建造物の周りには広告の幕が張り巡らされていたり、町中からタバコの匂いがしたりなど観光雑誌で見るだけではわからなかった現実が溢れていた。
テクノロジーの発展により、インターネットで調べるとすぐに土地の情報やイメージを見ることができる便利な時代になってしまったが、この留学ではそのような先入観と実際に見て、その場にいることで起こるリアリティーのギャップを強く感じる体験をすることができた。
渡航を経ての今後の制作活動:
留学に行くまでの作品は人間とテクノロジーの間でおこる視覚的な差異を、デジタルとアナログの間という観点から考察し、二次元と三次元の間についてを研究対象に制作していた。しかし、今回の留学をきっかけに作品から「リアリティー」をどのように介入させていくかを考えるきっかけとなった。
今後の作品の展開としてテクノロジーの発展が生活に浸透し始めている現状、また人々の生活環境と生活習慣を観察することに焦点を当てていきたいと考えている。今は特に人間の持つ知識や情報がネットを経由する事でどのように変化するのかを根底に置き制作していきたい。交換留学先ではテクスチュアルスカルプチャーというコースに所属していたので、引き続き素材の扱い方にもフォーカスしていきたいと考えている。
本奨学プログラムを利用してみて:
1年の滞在予定だったので、長期のプログラムで半年以上の奨学金があるといいなと思った。今回、コロナの影響でJASSOなどの国からの奨学金が止まってしまうなどの不安を抱えた学生がたくさんいたが、石橋財団は最初にまとめて奨学金をいただけるシステムだったので給付が止まるなどの心配がなかったのは精神的にも安心できた。
2019年9月13日 ウィーン着
2019年10月6日 Guided Tour through the City of Vienna ウィーンの街の歴史の解説ツアー
2019年10月25日 1回目・森のリサーチ ウィーンにあるナショナルパークへクラスで散策
2019年10月29日 自分の作品や自分についてクラス内でプレゼンテーション
2019年11月5日〜8日 フランス、パリで美術館やギャラリー中心に回った。
2019年11月15日 ハンガリー、ブタペストに留学生のための特別授業でショートトリップ
2019年11月19日 2回目・森のリサーチ THAYATALナショナルパークへクラスで散策
2019年12月20〜22日 オーストリアのアドモンドにある修道院にクラス遠足で宿泊研修
2020年1月15〜20日 ドイツ、ベルリンへ。ユダヤ博物館でドイツの歴史について学んだ。
2020年1月23〜26日 学校全体の大きな展示「RUNDGUNG」での展示
2020年3月5〜9日 オランダ、アムステルダムで美術館を中心に回った
2020年3月28日 帰国 (コロナの影響で滞在を断念)