2018年度短期派遣奨学生〜松本 美玲

研究タイトル:
「橋のための島」

氏名:松本 美玲
奨学年度:2018年度奨学生
奨学区分:短期派遣枠
滞在期間:2018.8.22 – 10.23
滞在先:アイルランド、イギリス、オランダ

活動内容:

2ヶ月間に亘って、アイルランドの本島と西部の離島、近隣国の町に数日ずつ滞在しながら移動していった。島の中を移動していく中で変化していく町の生活や、その道中、アイルランドの1日を通して変わりやすい気候など、徐々に変わっていくものの様子を中心に記録をした。
この渡航を計画するきっかけのひとつに、昨年の北海道での鉄道旅行がある。アイルランドと北海道は面積がほぼ同じで地理的条件も似ている。2つの島は全く関係がないけど、この2つの島を取り巻く構図が呼応するように感じて美しいと思った。どちらにも縁のない旅行者である私にとって、2つの島はとても遠い存在だというところで共通する。島と島をつなぐ橋は存在しないけど、無関係な第三者だからこそ見えるものがあるもしれない。そのために旅行者は常に宙ぶらりんな存在であることを意識するようにした。アイルランドと北海道を直接結びつけることは目的ではないけど、遠い存在との間に道や橋をつくる手がかりになると思い渡航を計画した。

気付いたこと、見つかった課題:

* 始めのうちは道のりを物理的に移動することや環境の変化に注目していたけど、日が経つうちに、滞在する自分がだんだん土地に慣れていくことの方に興味がわいた。あえて毎日同じ図書館や霊園に通ったり、同じルートで散歩したりしてわざと日常のようにふるまってみたところ、日常の動作がいつもと違った噛み合い方をするのが奇妙で面白かった。借り物の場所で過ごすよそものという状況が際立って感じられるようでもあった。
* アイルランドはにわか雨がとても多いというのは知っていたけど、確かに1日に何度も雨雲がやってきてはすぐ去って行った。ほんとうにすぐ止んでしまうので傘を持ち歩いたりわざわざさしたりするのが面倒になり、お店の軒先や教会で雨宿りをするようになった。そのように移動の間に空白の時間が挟まれるのが好きだった。

渡航を経ての今後の制作活動:

移動と滞在を繰り返したことで時間の過ごし方に緩急が生まれて、時間が伸び縮みするように感じたことが面白かったので制作に取り入れてたい。そして移動し続けたことで、逆に滞在することに興味がわいた。借りぐらしをすることと日本の家で暮らすことはどう違うのか、どこに境目があるのか気になった。
* 今回きっかけとなった北海道と比較することは目的ではなかったけど、次にどこか行くときは何か対象を決めたうえで違いを観察してみたい。
* 記録したことを整理して自分で見たり人に見せたりできるように、言語化をきちんとしたい。

本奨学プログラムを利用してみて:

貴重な体験をする機会を得られて光栄です。ありがとうございました。

 

渡航スケジュール:
8/22– 成田空港を出国、アイルランド島東部・ダブリン空港へ
ダブリンに滞在
8/28– バスとフェリーでアイルランド西部・アラン諸島へ
イニシュモア島、イニシュマーン島、イニシーア島に滞在
9/4– バスと車でアイルランド島西部と南部へ
ドゥーリン、キラーニー、ディングル半島、コーク、ゴールウェイ、レタフラック、ウェストポート、スライゴー 、マリンベグ、キルカー、ドネゴール、バリボフィに滞在
10/4– バスで北アイルランドへ
ロンドンデリー、ベルファストに滞在
10/9– フェリーでブリテン島北部スコットランドへ
エディンバラに滞在
10/13– バスで南部へ
ロンドンに滞在
10/18 フェリーと電車でオランダへ
アムステルダムに滞在
10/23 アムステルダム・スキポール空港から成田空港へ帰国
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