2018年度AIR派遣奨学生〜住友 和花奈

研究タイトル:
「私の『白い部屋着の少女』に出会う旅」

氏名:住友 和花奈
奨学年度:2018年度奨学生
奨学区分:AIR派遣枠
滞在期間:2018.8.19 – 11.21
滞在先:フランス、スイス、オーストリア

活動内容:

フランス、ブルゴーニュのアーティストインレジデンス、La Porte Peinteにて1ヶ月の滞在制作とディスカッション、共同制作をし、その近隣にあるシャシーの城とその周辺の環境を視察。
その後、フランス南西部のボルドー、スイスのベルンを視察、ロシニエールの山小屋にて滞在制作、ジュネーブ、オーストリアのウィーンなど、3ヵ国の都市と田舎町に1週間ずつ滞在。
フランスに戻り、パリの美術館、博物館、劇場などを見学。最後に、シャンパーニュ地方のアーティストインレジデンス、La Maison Verteにて1ヶ月の滞在制作と展示を行った。
フランスの画家Balthusが生涯のうちに住んだ土地を中心にめぐり、また、画家とその絵のモデルが実際に生活した環境の視察と滞在制作により、今後の制作における動機やモチーフの選択について考察した。

気付いたこと、見つかった課題:

二カ所のアーティストインレジデンスに滞在したが、どちらも都市やいわゆる観光地化された場所ではなく、昔からのその土地の建築を残した小さな村の住居に馴染んだ施設だった。最初に滞在したブルゴーニュの街並みは、木枠が外に露出し、その間を漆喰で埋めた壁、赤レンガの屋根が連なっており、小さな店には絵入りの手作りの看板がかかっていた。二か所目のレジデンスの隣には植物園があり、滞在者はその畑から野菜を取ることができた。ボートで川にでたり、人々が協力して家を修理していた。滞在中はその近隣の人々の生活がとても近く、生活そのものを豊かにするためにどのように時間を使っているか、なにを重要視しているのかを知ることができた。その場所に自分が馴染むためになにが必要で、なにが不要かを慎重に見極めることが、今後の自分の生活を見直す契機となった。

渡航を経ての今後の制作活動:

アーティストインレジデンスでの滞在も、他の都市やアルプスを望む山小屋での生活も、それぞれに生活リズムや人との距離感、重要視されるものが異なっていた。渡航前は、ある場所に私自身が作品という形で、入り込む、または置いて来る、その記録を制作としたいと考えていた。作品をつくるための動機探しや気負いが、日常生活をする時の心づもりとは幾分か離れていて、それが当たり前だと考えていた。
滞在制作を経て、作品をつくる動機は、日常生活での本当の必要を満たすための時間と行動の合間に見つけられるのではないかと感じた。ある場所に私が入ったとき、そこに私自身が本当に必要とするものはなにか、どうつくるか、どう見せるのかを一から考えていくことは、これからの作品制作の新しい、そしてより自然な動機を得るために重要であったと考える。

本奨学プログラムを利用してみて:

このプログラムに参加させていただき、大変貴重な体験をさせていただきました。
要望としましては、アーティストインレジデンス派遣に関して、滞在計画とその期間に基づいた奨学金を希望します。アーティストインレジデンス派遣は最大3か月の派遣期間でしたので、レジデンス費用のみでなく、活動支援金という形で滞在期間に合わせた支給があれば、もう少し余裕を持ちより多くの国と地域を訪れることができるのではないか、と思います。

 

渡航スケジュール:
8/19 羽田空港より渡航
8/20 シャルル・ド・ゴール空港(フランス)着
8/20–9/19 フランス ノワイェ La Porte Paint 滞在(アーティストインレジデンス)
9/20–24 フランス ボルドー
9/25–30 スイス ベルン
10/1–5 スイス ロシニエール
10/6–9 スイス ジュネーブ
10/10–19 オーストリア ウィーン
10/20–11/19 フランス マルネ・シュル・セーヌ La Maison Verte 滞在(アーティストインレジデンス)
(10/31–11/4 フランス パリ)
11/20 シャルル・ド・ゴール空港(フランス)より帰国
11/21 羽田空港着
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