2017年度短期派遣奨学生〜谷戸 晶子

研究タイトル:
「南米大陸の壁のリサーチ」

氏名:谷戸 晶子
奨学年度:2017年度奨学生
奨学区分:短期派遣枠
滞在期間:2017.7.26 – 10.11
滞在先:アメリア、メキシコ、ペルー、コロンビア、チリ、ブラジル

活動内容:

近年話題のグラフィティアートを中心に南米諸国の壁画を巡る旅。
壁はどんな街にも存在し、そこに生活する人々と共にあります。壁は建築と共に存在することも含めその使い方には人々の生活が顕著に現れると考えます。
今回の渡航では壁のリサーチからそこにいる人々を観察することを目的としました。ロサンゼルス、コロンビア、ブラジルでは現地でアーティストと交流も行いました。国内のものも含め見た壁画はできるかぎりその日中にウェブでアーカイブにして公開しています。特にブラジルにはあまりにグラフィティが多かったため追いつくのはとても大変でしたが、国ごとに壁画の傾向がやや違うことを確認することができます。

気付いたこと、見つかった課題:

日本で維持している生活を海外で保つことが大変でした。しかしそれはものを作ることとはあまり関係がないとも感じました。
今回の滞在ではアクシデントがたくさん起こったので動揺せず臨機応変な対処することを求められることが多く、行動力の成長は大きいと感じました。
海外に行くことは異なる文化を吸収することだけではなく(アクシデントはないことがベストではありますが)緊急を求められる事態を前にし自分の安全を確認し適切な対応ができるかどうかということは、作家として生きていく上で求められるわかりやすい技能だけではない判断力や発言力を養えると強く実感しています。
今回の渡航ではトータルで海外での滞在期間が今までで最も長かったこともあり自分の新しい一面を見たことも多かったように思えます。私は今回の渡航で改めて自分を見つめなおす期間を十分に楽しみました。

渡航を経ての今後の制作活動:

以前から漠然と感じていましたがこの滞在で改めて実感として強く感じたのは以下のことです。
善悪の基準も人間が決めたことであるということ、歴史は変わること、歴史は冗談も嘘も多いということ(それはある側面から見ると真実である場合もあります)、本に書かれていればそれは真実であるということはありえないこと(特に本は作者の意見が強く反映されるので気をつけるべきと考えます)。
それにともない技術や経験を自分のものにすることや先入観なしに事実を事実のみとしてよりクリアにみる見方を強く意識できるようになりました。これは即戦力的に応用することはできません。最近はこういうことをすぐに言葉にすることを多く求められますが、その必要はないとはっきり言い切ることができます。長いスパンで自分の成長を捉え、一つの経験として蓄積していくつもりです。その結果になることは今後の自分の行動と活動に反映されるでしょう。

本奨学プログラムを利用してみて:

南米渡航は素晴らしい経験でした。この奨学金がなければ実行にはうつさなかったと思います。渡航前、渡航中、渡航後、多くのサポートが自分の背中を後押ししました。
今回の滞在では、3年ほど前に出会ったインターネットの友人(外国の方です)がたまたまこの期間ペルーに滞在していたので数日間行動を共にしました。まさかこんな形で親しい友人ともほとんど行かないような海外旅行をネットの友人と行動するとは思いもしませんでした。過酷なスケジュールをこなしたおかげでお互いを思いやることを忘れる瞬間もありましたがかけがえのない時間を過ごしました。
この奨学金がなければ会うことのなかった人々や出会えなかった経験があります。いきあたりばったりでどうしようもないことも多かったですが自分で思っている以上に偶然と偶然が重なり、今回関わった方々は今後もなにかの機会で再会するのかなと思っています。そしてそれがものをつくる人を繋げる歴史となっていくのかなと思います。

 

渡航スケジュール:
7月26日 羽田空港からソウル経由でロサンゼルスへ
7月27日 ロサンゼルス(アメリカ)着(時差忘れでホテルとり損ねていた)
8月1日 ロサンゼルス→メキシコシティ(メキシコ)
8月11日 メキシコシティ→オアハカ(メキシコ)
8月16日 オアハカ→メキシコシティ
8月21日 メキシコシティ→リマ(ペルー)→23日クスコ/マチュピチュ(ペルー)→26日リマ(ペルー)
8月27日 リマ→ボコタ(コロンビア)→28日メデジン(コロンビア)→31日メデジン→ボコタ
9月2日 ボコタ→リマ→サンチアゴ(チリ)※ここで飛行機を逃し一泊
9月3日 チリ→サンパウロ(ブラジル)→リオデジャネイロ(ブラジル)
9月12日 リオデジャネイロ→サンパウロ
9月23日 サンパウロ→バイーア(ブラジル)→29日バイーア→サンパウロ
10月9日 サンパウロからアトランタ経由で東京に帰国
10月11日 東京/成田空港着
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