2016年度短期派遣奨学生〜松元 仁美

研究タイトル: 「チベットの美術、文化、民族性についての現地調査」

氏名:松元 仁美
奨学年度:2016年度奨学生
奨学区分:短期派遣枠
滞在期間:2016.7.27 – 9.26
滞在先:インド、中華人民共和国、ネパール

タージ・マハルにて

活動内容:

私は中国、ネパール、インド各国にあるチベット自治区を訪れ、寺院を巡りながらチベットの芸術文化や民族性、政治的背景からそれに伴う現状等の調査を行った。
宿泊はできるだけチベット人のお宅にホームステイをさせていただき、チベット人の人柄に触れながら現地の生活を体験した。
チベット亡命政府のあるインドのダラムサラでは仏画工房を見学したり、ダライ・ラマティーチングに参加してチベット仏教についてや、宗教に対する科学的な見解について学んだ。その後はインドのブッダガヤ、バラナシにある釈迦ゆかりの地を訪れ、仏教に対する考察を深めた。南インドでのアーティスト・イン・レジデンスでは、緑に囲まれたのどかな地で自身の制作及び研究を行った。
その他に、行く先々で出会った人やお世話になった人のポートレイトを描かせてもらい、ポートレイトファイルを制作した。

気付いたこと、見つかった課題:

チベット人は気さくで優しい方が多く、中国人であるかもしれぬ見ず知らずの私に対しても、とても温かく接してくれた。また、大人から子供まで共通して内にある種の芯の強さを持っているのを感じた。それは特に僧侶や子供を持つ母親に強く感じたのだった。そのような性質は、彼らが仏教を厚く信仰している事に深く関わりがあることを、ティーチングや釈迦について考察する中で気づかされた。
チベット民族は、中国共産党による文化大革命で国を失い、チベットの国家元首であり精神的指導者であるダライ・ラマ14世はインドに亡命した。その後ダライ・ラマに次ぐ権威であるパンチェン・ラマ11世は1995年、中国共産党によって捕らえられ行方不明となった。今なおチベットの情勢は楽観を許さない状況である。
そのような中でもチベット人たちは仏教を精神的支柱とし、標高4000mの過酷な環境の中で慎ましく、また誇り高く生きていた。

渡航を経ての今後の制作活動:

行く先々で行ったポートレイトの制作を通して、絵を描く技能は言葉の通じない外国の地において、非常に有効なコミュニケーションツールになることを実感した。この先も美術を用いた積極的な働きかけを続けていき、美術の可能性を広げていきたい。また、チベット問題に留まらず国内、国外で起きている様々な問題に目をそらさずに考察を続ける姿勢を持ち続けようと思う。そして容易に手に入る情報で知った気になったりせずに、今回のように現場に赴き、自分の目で見て考え、感じ取ったものを大切にして、これからも制作を続けていきたい。

本奨学プログラムを利用してみて:

傍からみると特殊な趣の研究テーマであるにも関わらず、奨学生として選出していただけたことは、この研究に取り込むうえで大きな自信になりました。また、研究成果を発表する機会をいただけたことは、自身にとってもチベットや仏教についてよく調べて整理したり、どうして自分がそれらに惹かれるのかを改めて考え直すとてもいい機会になりました。
本奨学制度と、このプログラムにご協力いただいた皆様には心から感謝しています。ありがとうございました。

 

渡航スケジュール:
・7月27日 成田空港より渡航、中国の西寧へ
西寧駅からチベット鉄道でラサへ。
・7月28日-8月1日 中国のチベット自治区、ラサに滞在
ポタラ宮殿、ジョカン寺、セラ寺、デプン寺などを訪れる。
・8月1日-8月8日 ネパール滞在
ボダナート寺院、クマリの館、タシリン・チベット村などを訪れる。
・8月9日-8月25日 インドのラダック地方に滞在
レーやラマユル、アルチやストク各地で寺院を訪れ、ホームステイをしながら滞在。
・8月25日-9月2日 インドのダラムサラに滞在
ノルブリンカにある仏画工房を見学。ダライ・ラマティーチングに参加。
・9月2日―9月11日 インドのデリー、アグラー、ブッダガヤ、バラナシに滞在
国立近代美術館、キラン・ナーダーミュージアム、タージ・マハル、正覚山、マハーボディー寺院、ダメーク・ストゥーパなどを訪れる。バラナシでは日本寺に滞在。
・9月11日―9月26日 南インドのコチに滞在
アーティスト・イン・レジデンスに参加、自主制作を行う。
・9月26日 コーチン国際空港より渡航、成田空港へ帰国
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