2014年度長期派遣奨学生〜岡田杏里

研究タイトル:
「1.メキシコ壁画運動の際に描かれた壁画の保存、修復に関する研究/2.インディヘナの古代美術に見られる土着文化に関する研究」

氏名:岡田杏里
奨学年度:2014年度奨学生
奨学区分:長期派遣枠
滞在期間:2014.6.17 – 1015.3.19
滞在先:メキシコ、グアテマラ

活動内容:

今回渡航先で行った研究は2つあります。まず1つめは1920-30年代に革命下のメキシコで行われた壁画運動の壁画についてです。リベラ、シケイロス、オロスコといった芸術家によって描かれた壁画群を訪れ、材料や保存、修復の方法について学芸員の方に聞き取り調査を行いました。
そして2つめは、先住民インディヘナの古代美術にみられる土着文化についてです。主にインディヘナの村、教会、遺跡、博物館等を訪れ、フィールドワークを行いました。自身の制作活動では、メキシコ国内のカフェやゲストハウスでの壁画制作をはじめ、5ヶ月間オアハカの美術工房へ通い、滞在制作及び個展を開催しました。現地の新聞に個展の事が取り上げられました。さらに、隣国グアテマラではアートユニット「ヘキカキカク」を結成し、現地でボランティアを集い小学校に壁画を描くアートプロジェクトを行いました。期間中、小学校の子どもたちを対象にワークショップを開催しました。

気付いたこと、見つかった課題:

メキシコへ行って気付いたことは、日本と比べて「芸術が身近である」ということです。例えば、街中に壁画や彫刻が点在していたり、メキシコ人や学生は毎週日曜日に無料で美術館、博物館、遺跡に入場できたり、街中には様々な民芸品が溢れ返っていたり、芸術は特別なものではなく、メキシコ人の日常生活に溶け込んでいるのだと感じました。
さらに、私が滞在していたオアハカでは、1年中催し物があるといっても過言ではないくらい、滞在中は街中で色鮮やかな民族衣装を着て踊る伝統舞踊や、大根に彫刻を施す大根祭りなどが行われていました。さらに、美術館やギャラリーなど展示スペースも多く立ち並び、毎週どこかで開かれる展覧会では、アーティストや美術関係者との出会いや繋がりが生まれていきました。そして、作家同士でも自分が良いと思った作品を購入する文化がありました。
今後は、日本でもより芸術が身近に感じられる様な活動を行っていきたいです。

渡航を経ての今後の制作活動:

「世界で最も危険な国ランキング」上位に入るメキシコ。以前からメキシコの文化や美術に興味があり実際に自分の目で見てみたいと思う反面、渡航前は「生きて帰ってこられるのか」内心不安でいっぱいでした。しかし、そんな不安も吹き飛ばすくらいメキシコは魅力的で、不思議な力を与えてくれる場所でした。
私が滞在していたメキシコのオアハカ州はミシュテカ、サポテカの文化、歴史のにおいが色濃く残る特別な場所でした。滞在中は、陽気で温かいメキシコ人から学ぶことが沢山ありました。自身にとってオアハカは、アイデアが溢れんばかりに湧き、制作意欲が掻き立てられる特別な場所でした。今後は、今回のメキシコ留学で得た経験を糧に、自身の制作活動に生かしていきたいです。そして、本格的に来年からメキシコへ留学をしたいと考えています。

本奨学プログラムを利用してみて:

今回、本奨学金プログラムを利用したことで、集中して自身の研究・制作活動に取り組むことが出来ました。奨学生として渡航したことが、自身にとって大きな責任となり行動源になりました。様々な人に支えられながら、現地で壁画制作や個展開催、アートプロジェクトなど積極的に活動が行え、充実した滞在となりました。このような素晴らしい機会を与えてくださった本奨学制度に心から感謝をしています。ありがとうございました。

 

渡航スケジュール:
・6月17日 成田空港より渡航。ベニート・ファレス空港(メキシコ)着
・6月19日〜8月10日 メキシコシティー、サンミゲル・デ・アジェンテ、グアナファト、サカテカス、グアダラハラ、オアハカ、サンクリストバル・デ・ラスカサス滞在(メキシコ)
・8月11日〜31日 Spanish School ATABAL語学学校(グアテマラ)
・9月1日〜20日 グアルディアニア小学校 壁画制作アンティグア滞在(グアテマラ)
・9月21日〜30日 サン・ペドロ・ラ・ラグーナ、ティカル滞在(グアテマラ)
・10月1日〜15日 casakasa 壁画制作、サンクリストバル・デ・ラスカサス(メキシコ)
・10月15日〜2015年3月27日 ルフィーノ・タマヨ工房、オアハカ滞在(メキシコ)
・2015年1月 Naranja Dulce 壁画制作
・3月5日〜20日 個展 ルフィーノ・タマヨ工房
・3月29日 成田空港着
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