2018年度長期派遣奨学生〜谷口 洸

研究タイトル:
「IAM Institute of Art of Malta Language Program」

氏名:谷口 洸
奨学年度:2018年度奨学生
奨学区分:長期派遣枠
滞在期間:2018.9.13 – 2019.3.31
滞在先:マルタ、イギリス、ハンガリー

活動内容:

渡航先ではマルタ共和国にて”IAM Institute of Art of Malta Language Program”(以後IAM)に参加をした。本プログラムの活動内容は主に4点あった。
①英語学習
マルタ共和国滞在中はマルタ大学の外国語コースを受講し、平日の午前中は日常英会話の能力底上げを行った。また週に一度アイエルツ対策のマンツーマンレッスンを受け、将来的に海外留学をする際に必要なアカデミックな英語力を鍛えた。
②作品制作
午後はスタジオにて自身の作品制作を行った。
③マルタでの展示会の開催
プログラムに参加をしている間、2か月に一度グループショーに参加した。
④ヨーロッパのアートワールドとのコネクションづくり
3か月に一度チューターとして現代美術の世界において活躍しているアーティストやギャラリストをマルタにお招きしプライベートレッスンを受けた。

気付いたこと、見つかった課題:

気づいたことは主に以下の2点ある。
①制作と勉強との両立は難しい
マルタ共和国滞在中は午前中に英語を勉強し、昼から夜にかけて制作をするという日々を過ごした。しかしながら、英語学習とスタジオ制作の両立は大変困難を極めた。私自身マルタへ行く前に日本で体調を崩していたため万全の態勢で物事に望めなかったこともあるが、結果的に二束のわらじになってしまったように感じる。日本へ帰国後アイエルツを受験したのだが、スコアは6.5とあまり満足のいかない結果に終わってしまった。英語を勉強する期間はそれに集中し、作品制作に注力する時には他のことは棚に上げておくことが自身の場合には必要になることが判明した。
②ヨーロッパのアートシーンは盛り上がりに欠ける
もともと東京芸術大学を卒業後イギリスの大学に留学を検討していた。そのためのIAM参加だったのだが、実際に欧州の現代美術情勢を見てその考えを改めた。移住先を変える予定だ。

渡航を経ての今後の制作活動:

ここでは3点について触れようと思う。
①英語による作品制作
マルタ共和国内での展示では全て英語で作品解説を行った。そのため制作においても英語による理論の組み立てを行う必要があった。気が付けば現在私は英語でドローイングをし、それを作品に昇華させている。今後ともそれを継続させていく予定だ。
②イギリスでの個展
マルタにチューターとして招聘したMark Lungleyが運営するLungley Galleryにて来年展示を行うことが決定した。今後作家として生活していく上での大きな前進ととらえている。
③シンガポールへの留学
マルタ共和国へ行く以前はイギリスへの留学を検討していたが、実際にヨーロッパアートシーンを見たことで考え直すきっかけを作ることができた。思えばヨーロッパの美術は常に外の世界から新たな価値観を取り入れることで前進を続けている。ルネサンスはアラビア語の書物を翻訳したことにより花開いた。印象派は浮世絵等の日本美術が多大な影響を与えている。コンセプチュアルアーティストはこぞって禅の思想を学んだ。私も西洋世界においてはよそ者である以上、ヨーロッパの美術には染まりきらずに生きていこうと考えるに至った。

本奨学プログラムを利用してみて:

この度はご支援下さり心から感謝しております。まことにありがとうございました。

 

渡航スケジュール:
9/13 日本出国
9/14 マルタ共和国入国
9/16 マルタ大学学生寮入寮
9/17–3/29 マルタ大学ジェネラルイングリッシュ受講
9/17–3/29 プライベートイングリッシュレッスン受講
9/17–3/29 スタジオにて制作
10/12–14 “Transnational Tokyo”展参加
11/3–4 “The Trail”展参加
11/12 イギリス在住の日本人アーティスト近藤正勝氏によるチュートリアル
2/13–21 ヨーロッパ美術旅行
3/19–26 “Land Politics”展参加
3/23 イギリスのギャラリストマーク・ラングレー氏によるチュートリアル
3/25–28 ハンガリー旅行
3/30 マルタ出国
3/31 日本帰国
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