2015年度短期派遣奨学生〜堀内悠希

研究タイトル:
「アメリカの移動と旅に関する短いフィルム」

氏名:堀内 悠希
奨学年度:2015年度奨学生
奨学区分:短期派遣枠
滞在期間:2015.8.14 – 10.16
滞在先:アメリカ合衆国

サンタモニカ、LA(カリフォルニア)

活動内容:

サンフランシスコからニューヨークまで、アメリカを横断した。南北たくさんの寄り道をしてだいたい15,000km、35日間の車の旅だった。
4人の旅で、車はレンタカー屋でジープを借りて、宿はほとんどがモーテルで、時々キャンプをした。
旅の間、8mmフィルムカメラで映像を撮った。ジョナス・メカスの1972 年の映画「リトアニアへの旅の追憶」は内容はほとんどホームビデオのようだが、16mmで撮られたアメリカのインディペンデント映画の名作だ。ロードムービーは、映画を撮るために集められた役者や製作者が、撮影のために実生活でも移動を強いられることもある。
そうやって生活や人生みたいなものが移動し旅が続いていくなかで、作品ができたり、あるいは作品にならないということを試してみたいと思った。

気付いたこと、見つかった課題:

中くらいの街に行くと必ずウォルマートという大型スーパーがあり、天井が高くてキャンベルスープ缶が大量に並んでいる。中部のテキサスやニューメキシコの風景は、超広大な土地に道が1本走っていて電柱が等間隔に並び、空が水色。ミニマルアートというのは頭を振り絞って発明されたような気がしていたけれど、もしかしたらドナルド・ジャッドをはじめとするミニマルアートの表現者は、すでにそこにあったものを発見しただけなのかもしれない。ウォーホル家の近所にはキャンベルスープがたくさん売っていたのだろうし、絵画や彫刻作品は大きくないと見えなかったのかもしれない。

渡航を経ての今後の制作活動:

私は、長い距離を移動した。たった移動しただけですが、こんなにも大きく支えられることはもうないかもしれない。そしてアメリカを横断中でも時には退屈するということがあり、それはほんとうに素晴らしいことだと思った。
帰国すると、日本は少し変わっているなと思った。知っているはずの場所なのにとても特殊に感じ、都内にあるアパート近くの駅に降りた時クリス・マルケルの「不思議なクミコ」を思い出した。エキゾチックだ。もちろんアメリカも普通ではないかもしれないから、これからもう少し色々な場所に行って、この普通だとか退屈だとかを確かめたいと思った。8mmフィルムの映像も、日本でも撮り続けて、別の移動先でも撮らないといけないかもしれない。まだ全部途中。もっと移動していろんな場所で立ち止まって退屈したいと思っています。

本奨学プログラムを利用してみて:

少なくとも私は石橋財団の奨学金をいただくことができなければ、アメリカを横断することはなかっただろうし、この経験はしてしまったらもう前には戻れないくらいの大きなものだったと思います。本当に良かったです。今後、学生同士のグループの応募なども可能になると面白いと思いました。

 

渡航スケジュール:
・8月14日 成田空港発、サンフランシスコ着
・8月14日-8月31日 サンフランシスコ滞在
・9月1日-10月5日 レンタカーにてアメリカ横断 主な訪問場所:サンフランシスコ、ヨセミテ国立公園、ロサンゼルス、サンディエゴ、デスバレー国立公園、ラスベガス、レイチェル、ソルトレークシティ、イエローストーン国立公園、デンバー、アーチーズ国立公園、モニュメントバレー、グランドキャニオン、フラッグスタッフ、ギャラップ、アルバカーキ、タオス、サンタフェ、エルパソ、シウダーファレス(メキシコ)、アルパイン、マーファ、ダラス、ヒューストン、ニューオーリンズ、オーランド、キーウェスト、ワシントンDC、ニューヨーク
・10月5日-10月14日 ニューヨーク滞在
・10月14日 JFK空港(ニューヨーク)発、北京(中国)にて乗換え、天安門広場など観光
・10月16日 成田空港着