2018年度短期派遣奨学生〜田口 裕理阿

研究タイトル:
「孤独と向き合う芸術表現、空間の模索」

氏名:田口 裕理阿
奨学年度:2018年度奨学生
奨学区分:短期派遣枠
滞在期間:2018.8.25 – 10.1
滞在先:モンゴル

活動内容:

SNSが蔓延るこの時代に、人間がこの地球上にて無条件で感じられる孤独を、表現してみたいと思いました。
エンドレスな空間を共有しているのにも関わらず現れる不可解な孤独という空間を、消費社会の外にある地で実感し、それをテーマに制作するという活動を行いました。その為に私は約一ヶ月間、モンゴルにて馬に乗り、ウランバートル、バガヌール、カラコルム、ホジルト、ハンガイ山脈、オルホン渓谷等の地域を旅しました。

気付いたこと、見つかった課題:

経済成長の著しい首都、ウランバートル以外の地域では、ほとんどの人々が遊牧民であり、ヤギ、羊、馬、ヤク、牛等を遊牧しながら生きています。モンゴルの人々の日常は至ってシンプルです。電気はありませんし、水道も無いので、直接川から水を引いたり、雨水を貯めて生活水にします。子供達は木の棒で遊び、牛の糞を焚いてゲルを良い匂いにします。このような生活であるからこそ、命の厳しさを痛感させられました。私たち人間は動物であり、そこには常に死が蔓延っています。死の恐怖から救われる為に、モンゴルの人々はシャーマニズムを強く信仰しています。そして、このシャーマニズム信仰の核は「憑依」であります。私はこの憑依に関心を持ちました。

モンゴルで暮らす人々を通して、この世の生命と生まれて初めてしっかり向き合うことができたのは、とても良い経験でした。

渡航を経ての今後の制作活動:

モンゴルに到着して四日後に、建物もトイレも何もない土地で電子機器も使えない中、発熱し、ゲルの中心に焚かれた火を眺めながら、その場所から見通せない世のことを考え孤独に気づかされました。朝には元気を取り戻し馬に乗り、幾度も地平線を越えながら目に映りきらないこの世とその場に或る生命のことを思いました。
このような経験を大切にし、生命と向き合って制作していきたいです。その為にも自らの生命を積極的に動かしていきたいです。

本奨学プログラムを利用してみて:

私がモンゴル得た経験は、活動内容の自由度が高いこのプログラム無しには出来なかったことであると実感しています。他では実現が難しかった活動を支援してくださったことに感謝申し上げます。

 

渡航スケジュール:
8/25 成田空港より渡航。チンギスハーン国際空港(モンゴル)着
8/27–28 ウランバートルに滞在
8/29– 馬に乗り旅(バガヌール、カラコルム、ホジルト、ハンガイ山脈、オルホン渓谷)
10/1 成田着