2017年度長期派遣奨学生〜遠藤 麻衣

研究タイトル: 「『アイ・アム・ノット・フェミニスト!』のその後」

氏名:遠藤 麻衣
奨学年度:2017年度奨学生
奨学区分:長期派遣枠
滞在期間:2017.2.27 – 8.27
滞在先:オーストリア、ドイツ

活動内容:

私は、芸大交換留学制度を使用して、ウィーン美術アカデミーへ留学しました。
スロヴェニア出身の哲学者、批評家、アーティストとして活動されているマリーナ・グルジニッチ教授のご指導を仰ぎながら、自身の作品制作と論文執筆を展開させることを目的としてウィーンに滞在しました。
マリーナ教授のゼミでは、主にディスカッションをベースに授業が進みます。アフリカや東欧から、たくさんのアーティストがゲストとしてゼミに招かれ、彼らのレクチャーを聞き、学生を交えたディスカッションを行います。
学生は国籍も文化的背景も様々な人が集まっています。私は、学期の最初と最後の2回、自作のプレゼンを行いました。最初のプレゼンでは自己紹介として過去作のプレゼンを、最後のプレゼンでは、次回作のアイディアをプレゼンしました。

気付いたこと、見つかった課題:

今後自分が育った文化や制度の影響を引き受けた上で制作論を構築する必要性を感じました。
ゼミでのプレゼンを経て、育った文化や制度がいかに限定的な状況かということに大きな気づきがあったからです。例えば、自作でこれまで扱ってきた、婚姻制度や著作権制度など社会的な規範、日本でのフェミニズムの受容は、西洋のそれとは異なります。自作を説明するときには同時に前提が違うことも説明をしなければ問題意識を共有できません。
一方で、共通の文化を経験していながら違うメッセージを受け取ることもあるという気づきもありました。例えばインターネットを通じて幼少期にセーラームーンをみて育ったウィーン在住のアーティストは、西洋における魔女のコンテクストとセーラームーンを繋げて作品を作っています。彼女は、自分が他国の文化を引用する際に、それが西洋人的なアプロプリエーションの手つきにならないように気をつけていると言っていました。

渡航を経ての今後の制作活動:

ウィーンは、現代美術と伝統的な古い芸術がコンパクトな街に混在しています。ここでたくさんの芸術鑑賞をすることができました。今後は東京に戻り、博論執筆と制作を並行して行ってゆきます。この旅で得た知見を生かしてより深めていくつもりです。
また、私は物語や歌、演説や話芸を表現手法として用いていますので、英語翻訳についても積極的に行ってゆきたいと考えています。さらに、今回の留学中に初めた自主制作雑誌、”Multiple Spirits”についても展開してゆく予定です。

本奨学プログラムを利用してみて:

プログラム利用中の利用者同士の交流ツールがオンライン上にあると良いと思いました。現地情報の交換などが欲しいと思う場面がよくありました。

 

渡航スケジュール:
2月27日 ウィーン空港(オーストリア)着
2月28日 ウェルカムミーティング/アカデミーガイドツアー
3月6日 マリーナ教授ゼミ開始(ウィーン美術アカデミー)
毎週月木の午後はゼミ。アーティストプレゼンや読書会、作品上映を通してディスカッションをする。
3月11日 大学主催ウィーン市ツアー
3月23日 ゼミ内、自己紹介プレゼン(1)
4月1日~5月3日 アカデミー博士課程に在籍している丸山美佳さんとアートジン”Multiple Spirits”制作
4月10日 アーティスト、パトヴィザウアーインタビュー
5月4~8日 ベルリンアートブックフェアにMultiple Spirits出店(ドイツ)
5月9~6月10日 映像作品制作、論文執筆
5月31日 鉱物探し(オーバーエスターライヒ)
6月11日 ゼミ内、自作プレゼン、ゼミ展覧会《Death&Capitalism》MultipleSpirits展示(ウィーン美術アカデミー)
6月19日 パト・ヴィザウアー主催のスクリーニングに映像出品(Lazy Cafe,ウィーン)
6月20日 マリーナ教授と最終個人面談(ウィーン美術アカデミー)
7月20日~22日 日本で開催された岸井大輔さんの演劇《始末をかく》に遠隔から出演
7月31日 丹波良徳さんインタビュー
8月1日 ブダペスト(ハンガリー)日帰り
8月2日~5日 パレルモ(イタリア)で開催されているマニフェスタ12を鑑賞。ローマ、フィレンツェを周りバチカン美術館、遺跡、ウフィツィ美術館などを鑑賞
8月21日~23日 ベルリンビエンナーレ2018をマリーナ教授と一緒に鑑賞
8月27日 帰国
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