2014年度長期派遣奨学生〜村田啓

研究タイトル:
「ヨーロッパにおける人・動物・アート」

氏名:村田啓
奨学年度:2014年度奨学生
奨学区分:長期派遣枠
滞在期間:2014.7.31 – 2015.1.27
滞在先:イギリス、フランス、イタリア、ハンガリー、クロアチア、オーストリア、スイス、ドイツ、スウェーデン、 デンマーク、オランダ、ベルギー

ブライトン駅にて(イギリス)

活動内容:

私は元々動物や自然に関係した作品を制作していました。そしてその活動の中で“collaboration with animals” などが例にあげられるような動物とのやり取りのある企画に興味を抱き、自身の制作においても、動物園などの施設から遊具や動物の糞、その他のものを譲り受ける企画を実施し始めました。現在、日本においては多摩動物公園、この度の渡航ではヨーロッパの4カ国の動物園からご協力いただいています。 今回、交渉をする際には、SNSや大学で協力してくれる人を探し、複数回に渡って企画の修正などを行うことで、スムーズな活動展開を心がけました。また滞在国では多くのギャラリー、美術館、現地で制作を行っているアーティスト、レジデンス施設や大学を訪れる中で、アート・デザインの動向について学びました。 実際に彼らの活動を手伝ったりすることで、ヨーロッパでのアーティストのあり方を身をもって知ることができました。

気付いたこと、見つかった課題:

今回の渡航では、海外の施設の協力を得る企画を実施しましたが、その中で語学、価値観のギャップを擦り合わせることの重要さを強く感じました。
そのような擦り合わせをする際には、事前に現地の方との話し合う機会などを定期的に設け、共通目標などを細かに設定することがスムーズな展開につながるのか、と思いました。
また、海外で活動している日本人アーティスト達に会った際、現地で制作活動をしながらも、日本のマーケットをなかなか無視することができない現実も知ることができました。

渡航を経ての今後の制作活動:

今回の渡航において、海外で展開されているアート・デザインの領域横断性を目の当たりにしました。例えば、イギリスの大学でNarrative Environmentsコースの活動を手伝う機会があったのですが、既に様々な領域で活動しているメンバーが集い、デザインによる社会的問題解決をテーマのもと自由な意見を往来させている姿が印象的でした。具体的には、ロンドンオリンピックの際にスタジアムなどの施設が建設されたイーストエンド地域における自治体と住民との対立といったテーマなどが掲げられており、開発に伴ってスタジオを立ち退きさせられたアーティストの話を聞くにつけ、私たちも2011年の東京オリンピックを控え、他人事ではないと思わされました。それはさておきNarrative~のメンバー間で自由なやり取りが成り立つのは、それぞれの領域のテキストがはっきりしているからこそのものだと思います。今後どのような活動をしていく際にも、自身の活動している領域がどこなのか、そこからどのように動こうとしているのか、より自覚的になる必要性を感じました。 また主要都市では連日、批評家や作家などによる講演プログラムがあり、美大の学生は競ってそれに参加していました。そして皆で一緒に話したときなどには、自身が最近どれだけ講演に参加したか、といった話題で競い合いが起きるようなこともしばしばあったように思います。勿論、彼らは数にのみ執着しているわけではなく、その数で競い合うほどの新しい知識に対する貪欲な姿勢には驚かされ、自身もそのようにあるべきなのだと強く感じさせられました。

本奨学プログラムを利用してみて:

このプログラムには交換留学制度などにはない自由さがあり、自らの興味、関心の赴くままに活動することができます。 学生の身分でそのような貴重な機会を頂くことができて大変ありがたく思っております。

 

渡航スケジュール:
・7月31日 成田空港発
・8月1日 ヒースロー空港(イギリス)着
・8月半ば~9月半ば ロンドン動物園交渉
・11月13日 イギリス発フランス着
・11月半ば~12月半ば ヴァンセンヌ動物園交渉
・12月14日 フランス発
・12月14 ~1月23日  周遊(イタリア/ ハンガリー/ クロアチア/ オーストリア/ スイス/ ドイツ/ スウェーデン/ デンマーク/ オランダ/ ベルギー)
・12月20~12月21日 クロアチアクマ保護施設交渉
・12月24日~1月6日 アルプス野生動物園交渉
・2015年1月23日 フランス着
・1月26日 シャルル・ド・ゴール空港(フランス)発
・1月27日 成田着