研究タイトル:
「オストランドスケープの収集」
活動内容:
1990年のドイツ再統一後における東ドイツの風景を実際に確認したいと思い、東ドイツを一周する様なプランでスタート地点をベルリンにしました。そこからコットブス、ドレスデン、ライプツィヒ、そしてまたベルリンに戻ってこれる様な渡航ラインで自身の旅に取り組みました。旧東ドイツの歴史がベルリンの子供達にどう教えられ、そしてどの様に感じ取ってもらえているのか、現地でのレクチャーやミュージアムを見て考える事から、旧東ドイツの歴史を感じさせるモニュメント周辺の散策を通してオスト(東ドイツ)の風景を見つめ直す様な事まで、ナチズム時代の東ドイツと現在の東ドイツが混在する光景を記録を通して確認しました。一方では、ミュージアムやモニュメントを辿りながら東ドイツの街々を探索しましたが、現地での旅からオスト(東ドイツ)の風景が帰国後どの様に纏められるか自分なりに考えていました。
気付いたこと、見つかった課題:
ベルリンを拠点に東ドイツ一帯を回りながら各地点の特徴を抑える予定で写真を撮っていましたが、実際に訪れたどのエリアにもペインティングが施されていて、自由度の高い街の景観を確認する事ができました。シュプレーヴァルトの街とコットブス一帯の森林や、ドレスデンのツヴィンガー宮殿、ライプツィヒに居るストリートアーティストの鑑賞を通して、東ドイツの自然や文化に触れる事も叶い、東ドイツの生活風景の豊かさを実感しました。しかし、一方ではネオナチズムの運動やユダヤ人墓地への落書き等、旧東ドイツのナチス思想を肯定する様な事件もあり、ドレスデンに居た際には軍隊のワゴンが並ぶ光景に東ドイツの緊張がまだ依然と解けない事も重ねて想像しました。旧東ドイツからの緩和状態は現在の東ドイツにおいては学生に向けたレクチャーやアートスペースのイベントを通して維持されているのだと察しましたが、東ドイツの文化認識を私自身が更に深め、アートスペースを通した歴史の認識方法について考察していくべきだと思いました。
渡航を経ての今後の制作活動:
国内での制作になりますが、アートスペースを通した歴史の認識について考察を深めて行こうと思っています。東ドイツでの散策と、アートにおける様々なメディアの鑑賞を通して、ミュージアムの役割やレクチャーの重要性を東ドイツという地域にとても感じました。文献をはじめ東ドイツの歴史は都市のペインティングや景観には留まらず、歴史を懐古させる現代的な取り組みもあります。「ASISI PANORAMA BERLIN」の様にアートを介したベルリンの壁崩壊の制作は子供や大人に関わらず「歴史を見る」という体験を作っていました。この様な事から、国内においても作品の体験と歴史性からアートスペースという機能を捉え直して行きたいと考えています。その為の思索と制作の場作りを目指し、自分から発信できる様な活動をしていきたいです。また、今後ですが、東ドイツへ趣く機会があればベルリンにあるシナゴーグの礼拝所と、ライプツィヒのニコライ教会にある東西ドイツ統一の記念柱はもう一度見にいきたいと思っています。
本奨学プログラムを利用してみて:
渡航の為の必需品リストかアドバイス等メモ程度にあれば安心して渡航の準備ができると思いました。
渡航スケジュール:
8/1 羽田空港より渡航、ベルリン・テーゲル空港 着。ベルリンのホテルへ向かう
8/1-8/7
ベルリン・ユダヤ博物館にて作品鑑賞。テロのトポグラフィーにて資料鑑賞。イーストサイドギャラリー、ブランデン・ブルク門一帯、アレクサンダー広場、虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑、ベルリン大聖堂、を散策。チェックポイント・チャーリーにてASISI PANORAMA BERLINにて鑑賞。
8/7-8/12
コットブス、シュプレーヴァルトの街を散策。
8/12-8/17
聖母教会(ドレスデン)、ノイマルクト広場、カトリック旧宮延協会(三位一体大聖堂)周辺を中心に散策。
ツヴィンガー宮殿にて彫刻、陶器、絵画鑑賞。
8/17~8/22
ライプツィヒ市街地中心部散
ASISIのPANOMETER LEIPZIGにて作品鑑賞。
8/22-8/29
イーストサイドギャラリー鑑賞。GROPIUS BAUにて作品鑑賞。
シナゴーグ周辺からベルリン大聖堂までの距離をシュプレー川沿いに歩く。
8/29 ベルリン・テーゲル空港より羽田空港へ到着