2018年度AIR派遣奨学生〜亀倉 知恵

研究タイトル:
「フィンランドと森林」

氏名:亀倉 知恵
奨学年度:2018年度奨学生
奨学区分:AIR派遣枠
滞在期間:2018.7.23 – 10.29
滞在先:フィンランド

活動内容:

昨年からスタートしたY-AIRプロジェクトは天空の芸術祭で計画されたフィンランド-日本の交換アーティストレジデンスプログラムです。今年度、私は日本側からの作家としてこのプロジェクトに参加する機会を頂き、三ヶ月の間フィンランド北部各地を滞在しました。まずIiのWaria art Breakからスタートし、フィンランド北部へ研究旅行に出かけました。400km先のivaroを目指し、途中muteniaなどに経由しながら6日間かけて北上しました。そしてkakslauttanenで行われたArctic art weekというイベントに他の様々な国から集まった参加者と交流しながら作品制作を行い、そこでさらに一ヶ月の滞在し森林とサーミの研究を行いました。9月に入ってからは ロヴァニエミへ移動し、ラップランド大学で授業に参加しながら天空の芸術祭に向けて作品制作をしました。

気付いたこと、見つかった課題:

まず現地に向かうに当たって、自身の研究内容についてはある程度日本語の文献で下調べを行っていたのですが、現地で調査していくと実際にイメージしていた印象とは全く異なったり、最初のテーマとは別の事に興味が出てきたりして、結局最初の計画とは全然違う形で研究や制作を行うことになりました。また実質的な問題として、道具や施設がないので作品をどう作ったらいいのかということに常に悩み、そして道具がないので制作費用が予想以上にかさんでしまいます。今回このようなご援助いただけた事は、ホームではない場所での制作や研究を行うにあったって非常に本当に心強く思いました。

渡航を経ての今後の制作活動:

実際に現地に身を置き人々の話を聞きながらその土地の歴史や環境を調べるのは、下調べとして日本で調べた現地の印象と全く異なる形印象やアイディアを与えてくれました。今回の場合では彼らがずっと昔から自然を尊敬をもって接し、環境に合わせて生活を行い、そして文化を作ってきた事が身にしみて感じることが出来ました。私の制作の現在の興味は人々がどのように自然環境との関わることについてで、このような経験を経て現地調査が作品の表現にどれほど重要な影響を与えるかわかりました。今回の渡航をきっかけに得たアイディアをより深めるため、現在私は日本各地で研究・制作を行っています。機会があればまた別の国の自然史を調査しに行きたいと考えています。

本奨学プログラムを利用してみて:

初めて海外でのレジデンス制作を行うにあたり帰国後にその成果を報告展があるという事でそれを意識しながら行動できたのは、自身の制作の記録を作るためにもとても良かったです。

 

渡航スケジュール:
7/23–25 フィンランド到着。IiのWaria Art Break に滞在。今回参加しているプログラムのスケジュール調整。
7/26–30 Waria Art Breakのレジデンス作家である千葉直子さんと共に北部研究旅行へ。ロヴァニエミ、ルオスト、アスカ、ブオツォムテニア、イナリを訪れた。
7/31–9/2 カクスラウッタネンに到着。一ヶ月間滞在制作を行う。
8/2–9 カクスラウッタネンで行われるArcyic Art Weekに参加。
9/3–10/12 ラップランド大学にて滞在アートコースの研究生と一緒に「芸術的思考と表現」プログラムに参加 。
10/13–15 Waria Art Breakに戻り、滞在制作での報告。
10/19 帰国